新築やリノベーションで、パントリーを取り入れるかどうか悩んでいる方は多いですね。
パントリーは食器や調理器具、食品、日用品などの収納スペースのことで、キッチン近くに配置することで家事効率が上がる人気の設備です。
ただ、本当にパントリーが必要かどうかはライフスタイルや家族の収納量によっても違います。
今回はパントリーについて、間取りや位置、広さ、メリットとデメリットをご紹介します。
- パントリーとは
- パントリーの位置や広さ
- パントリーのメリット・デメリット
- パントリーの間取りの注意点
パントリーとは
パントリーとは、キッチン周りの食器や調理器具、キッチン用品、常温保存の食品や調味料、保存食、日用品のストックを保管する収納スペースのことです。
キッチン周りのストックをパントリーに集約することで、家事動線も便利になります。
パントリーは、キッチンスペース内もしくはキッチンスペース横に棚のみ設置してあるような奥行の浅いタイプと、広いスペースを確保して収納を作っているような奥行の深いタイプの2種類があります。
パントリーに収納するものとしては、以下のようなものがあります。
- 常温保存の食品や調味料のストック
- 加工もの(レトルト・真空パック・お菓子)
- 素材もの(米・砂糖・塩・醬油・みりん)
- 乾きもの(しいたけ・昆布・寒天・麺類)
- 種もの(大豆・コーヒー豆・お茶)
- 粉もの(強力粉・薄力粉・片栗粉)
- 水もの(ミネラルウォーター・ビール・酒)
- 果物(みかん、りんご)
- 土物(じゃがいも、人参、玉ねぎ)
- 生もの(ぬか味噌・梅干)
- お菓子
- 鍋、フライパンなどの調理器具、キッチン用品
- ホットプレート、ミキサーなどの調理家電
- 弁当箱やタッパー、水筒
- ゴミ箱
- 非常用の備蓄
- 日用品のストック
- 掃除道具
パントリーの大きさや使い方によって、収納できる物は変わります。
スペースが確保できて広いパントリーが作れる場合は、ちょっとした作業台を設置して、書斎のような使い方もできます。
パントリーのタイプ
パントリーのタイプは壁面収納タイプ、ウォークインタイプ、ウォークスルータイプがあります。
壁面収納タイプ
壁面収納タイプのパントリーとは、キッチンの反対側の壁面などに収納スペースを作るタイプです。
- 必要な物をすぐ取れて、調理作業の効率が上がる
- 在庫が一目でわかるため、食材の管理も簡単
ウォークインタイプ
スペースに余裕がある場合は、ウォークインタイプのパントリーがおすすめです。
- 空間を仕切ることができ、キッチン周りの生活感を抑える
- ダイニングからの調理器具や食材への視線を遮ることができる
- 部分的にワインセラーなどを設けることもできる
- インテリアデザインに凝った住宅などでは効果的
ウォークスルータイプ
玄関や勝手口からキッチンまでの動線上に設けるパントリーは、ウォークスルータイプと呼ばれます。
- 買い物から帰って、そのままパントリーに食材を収納できる
- とれたての野菜など土がついた物を廊下の床を汚さずスムーズに保管できる
- 部屋の両側に出入り口を設けるため、ウォークインタイプと比べると収納力は下がる
- キッチンに出入りする通路部分と調理作業スペースを結ぶ動線に沿う
- 無駄な動きをしないで済むような場所に設置する
- 開き戸よりも引き戸のほうが、動線を阻害しない
- 引き戸は収納スペースを半分隠してしまう点には注意が必要
- スペースが限られる場合は、幅の広い食器棚で代用できる
我が家のパントリーはウォークスルータイプです。
パントリーの位置
パントリーの位置はキッチンの近くが便利です。
買い物から帰ってきたとき、すぐに使うモノは冷蔵庫に、ストックするモノはパントリーにしまいます。
「玄関→パントリー→キッチン」という動線があれば、最小限の移動で済むので、時短にもつながります。
方角は、北側の玄関に近い位置がおすすめです。
西日で食材が痛む可能性があるので、西側はなるべく避けたほうがいいです。
我が家のパントリーは、キッチンの近くです。玄関の近くが良かったのですが、間取りの都合上、諦めました。
パントリーの広さ
壁付けタイプは幅90~180cm、奥行き45cm程度が一般的です。
ウォークインタイプやウォークスルータイプはパントリー内で移動が必要となるため、奥行き100cm以上あると理想的です。
荷物を持って人が移動できる通路幅を、必ず確保しておきましょう。
棚は、奥行きが30〜45cm程度にすると使いやすいです。
キッチンで使う道具や器具、食材など寸法は、ほとんどがハンディーサイズなので、奥行きが深いと奥のものが取り出しにくくなってしまいます。
ワインのボトルは約30cmです。ワインラックに寝かせて保管するとして、ラックの幅を入れても45cmあれば余裕を持って収納可能です。
パントリーに出入りするための間口(幅)は、80〜90cm程度が理想的です。
調理器具や食材を持って出入りするので、狭すぎないようにします。
パントリー内の動線幅は、60cm程度が目安です。
- 棚の奥行が45cmで通路幅が60cmとすれば、壁の内法寸法は150cm程度
- よりコンパクトにして片側だけに棚を設けるのであれば、内法寸法は105cm程度
- 空間で仕切らない壁面収納タイプのパントリーであれば、奥行きが45cm、幅90cm程度
- 食器棚や市販の組み立て式ラックをパントリー代わりにする方法もある
我が家のパントリーは、約2畳です。棚の奥行きは30cmです。
パントリーのメリットとデメリット
ここから先は、パントリーのメリットとデメリットをご紹介します。
パントリーのメリット
まず、パントリーのメリットは以下のとおりです。
- 収納力がアップする
- 大きな収納スペースにたくさんのものを収納できる
- キッチンをスッキリ整理整頓しながら広く使うことができる
- 家事動線が便利になる
- 広いパントリーの場合は、日用品などのストックもできる
- 在庫が確認しやすい
新築時にパントリーを設置する最大のメリットは、キッチンまわりのものを収納できるスペースを大きく取ることができ、キッチンまわりをおしゃれでスッキリとした印象にできることです。
食料品や調味料、キッチン家電や食器などでゴチャゴチャと乱雑になりがちなキッチンですが、食料品のストックや使用頻度が少ないキッチン家電などをパントリーに収納することで、キッチンに置くものを減らすことができます。
安売りの際などに食料品や日用品などを買いだめしても、収納場所に困ることがありません。
さらに、災害に備えて水や保存食などの備蓄にも、パントリーは最適です。
ウォークインタイプのパントリーを設置するスペースを確保できない場合にも、食器棚タイプのパントリーを設置できます。
広いパントリースペースがある場合は、作業台を設置して、家事の合間の書斎スペースとしても活用できます。
パントリーのデメリット
パントリーのデメリットは以下のとおりです。
- 収納スペースをたくさん作ると、キッチンやリビングのスペースが圧迫される
- 棚や扉をつけると費用がかかる
- 家の面積を増やすと費用がかかる
- 予算の確保が必要
- 移動距離が長くなると、家事動線が複雑になってしまう
- 開封済みの食べ物は害虫対策が必要
キッチンのスペースが狭いにもかかわらず、パントリーを設置した場合には、キッチンの作業スペースが狭くなりキッチン自体が使いにくくなってしまう可能性があるので、注意が必要です。
また、パントリーをキッチンから離れた場所に設置してしまうと、料理の際にもキッチンとパントリー間の移動が必要となり、キッチンの作業に時間がかかってしまったり、パントリーとしての使用ができなくなってしまうこともあります。
まず、キッチンまわりに広いスペースが確保できるか、どのようにパントリーを使用したいかをイメージし、必要な広さや使いやすい動線を検討しましょう。
パントリーが必要な人
パントリーの必要性はライフスタイルによって異なります。
パントリーを作った方が便利になるライフスタイルは以下のとおりです。
- キッチン空間の収納スペースが足りない
- 家族が多くて物が多い
- 買いだめ、まとめ買いをよくする
- 在庫管理が苦手で買い物に行っても買い忘れることがある
- 対面キッチンをすっきり使いたい
- 常に片づけておきたい
- 来客が多く、人目が気になる
- 実家から野菜や米などをもらうことが多い
- 家庭菜園をしている
- 料理教室やパン教室などキッチンを仕事に使う
- 料理をしながら書き物や裁縫など別の作業をよくする
- 家族みんなで家事を分担したい
- 災害に備えて保存食をストックしたい
キッチンの収納と冷蔵庫では食器、調理器具、食品がおさまらないことが多々ある…という方にはパントリーがあると便利です。。
食事を作りながらお子さんの宿題をチェックしたり、パソコンを触ったりすることが多い方は、キッチン横のパントリーに作業スペースがあると重宝しそうです。
家族が多く、家事の負担を減らしたい、家事を分担したい場合にも…
日常のおやつを準備する、朝食に使うふりかけや海苔を出す、トイレットペーパーを補充する、洗濯洗剤を入れ替える、というような作業をするときに、収納場所がバラバラだと家族みんなが覚えるのは大変です。
パントリーにお菓子や食品、日用品を集約させておくことで、誰が見てもストックの場所と在庫がわかります。
「どこにあったっけ?」ということも減り、分担して家事を進めることができるでしょう。パントリーにあるものを持っていくという作業を家族一人一人がしてくれたら、家事の負担が減ります。
収納するものの種類や量、使い方などを考えながら、便利なパントリーのプランを考えてみましょう!
パントリーが不要な人
パントリーがさほど必要ではないケースは以下のとおりです。
- キッチン本体にも収納はあり、他にも大きめの食器棚があって収納が足りる
- 収納するものが少なく、キッチン内で収納が完結する
- 料理をしながら手の届く範囲に物を置いておきたい
- 整理整頓が苦手で、適当に収納してしまう
- 余計なものを買ってしまう
- キッチンを使用する頻度が少ない
パントリーを設置するのを少し考えたほうが良いのは、キッチン空間のスペースに余裕がない場合です。
パントリーを設置するには、それなりのスペースが必要となるので、無理に設置すると、キッチンの作業に必要なスペースが確保できずに、使いにくいキッチンとなってしまう可能性があります。
家族が少なく、ものも少ないご家庭や、マメに買い物に行くので買い置きやストックをあまり持たないというご家庭には、パントリーはあまり必要ないかもしれません。
キッチン周りに収納したい物をリストアップし、普段の食品の量も考えて検討するのが良いでしょう。
パントリーの間取りの注意点
パントリーを快適に活用するためには、新築時にさまざまなポイントに注意しておくことが大切です。
- 設置場所と大きさ
- 扉ありか扉なしか
- 高さ別に収納するものを考える
- ボックスとラベルを活用する
- 換気できるようにしておく
- コンセントを設置する
設置場所と大きさ
パントリーには収納スペースと動線スペースが必要です。
パントリーは食品やキッチン道具などキッチン周りで使うものを中心に収納するので、キッチン内やキッチンのすぐそばに設置することがほとんどです。
調理作業の効率を考えて、なるべく移動距離が短くできるように間取りを工夫しましょう。
できるだけ大きなパントリーにしたいと考えがちですが、大きすぎても生活スペースを圧迫してしまいます。
広すぎず、奥行きを取りすぎず、収納したものを見渡せて、取り出しやすい棚の広さを考えます。
ものの出し入れや通路のスペースも確保しておきましょう。
パントリーが広すぎる・狭すぎるという失敗を防ぐために、収納する予定のものや買い出しの頻度などを明確にし、適切な収納力を確保するようにしましょう。
また、パントリーを設置した後の動線もしっかり検討しましょう。
ドアの開閉が邪魔にならないか、シンクや冷蔵庫にスムーズに移動できるかなど、実際にキッチンを使用する状況をイメージしつつ配置を決めることが大切です。
扉なしか扉ありか
パントリーには扉がないオープンタイプと、扉のついているクローズタイプの2種類があります。
オープンタイプは中身が一目でわかり、出し入れも便利です。
壁紙はおしゃれなものを選び、見せるインテリアにすることができますが、外から中身が丸見えになってしまうことが気になる方もいるでしょう。
クローズタイプなら中身は見えません。
パントリーに収納して扉を閉めてしまえば、隠すことができてキッチンはすっきりします。
さらに、ゴミも捨てる日まで見えないところに保管できるので便利です。
しかし、扉の設置に費用がかかる、開け閉めが面倒でスペースも必要というデメリットもあります。
我が家は、IKEAのリルで目隠ししています。
高さ別に収納するものを考える
床から天井まで高さのあるパントリーなら、高さ別に収納するものを分けると取り出しやすいです
- 上:軽いものをボックスやかごに入れて収納
- 中:見やすく取り出しやすい場所なので、消費期限のある食品など毎日よく使うものを収納
- 下:ペットボトルや缶詰、お米のストック、重たい鍋など、大きなもの・重たいものを収納
一番下の棚には、まとめ買いしたストックや重いものを箱のまま収納することもできます。
パントリー収納には無印良品の収納ボックスがおすすめです。
ボックスとラベルを活用して収納
ストックの種類ごとにボックスやかごに入れ、ラベリングをして収納するのがおすすめです。
家族の誰が見てもどこに何があるか一目で分かりますし、ボックスごと出し入れすれば、奥行きのあるパントリーも無駄なく活用できます。
主要なものは定位置を決めて管理しましょう。
換気できるようにしておく
ウォークインタイプにする場合は、換気もできるようにしておくと安心です。食材を保管していると揮発や発酵などが起きる可能性もあるため、安全を確保するためにも換気できるようにしておくのが望ましいです。
ウォークインタイプは、空気が抜けにくいので湿度や温度が高くなったり、臭気がこもることがあります。
開口部と反対側に通風のための換気口や窓を設けておくと良いでしょう。
コンセントを設置する
ワインセラーなどの通電が必要な設備を設置する場合は、設計段階からコンセントの位置や容量を考慮しておく必要があります。
我が家は、ルンバ用のコンセントを設置しました。
パントリーは不要?間取りや位置、広さ、メリットとデメリットは?まとめ
いかがでしたか?今回はパントリーについて、間取りや位置、広さ、メリットとデメリットをご紹介しました。
収納だけでなく、家事の効率をあげてくれるパントリー。
スペースに無理がないかなどを考慮しつつ、ライフスタイルに合わせて必要かどうか検討したいですね。